コラム
【アフェリエイター必読】消費者庁:アフェリエイト検討委員会では何が議論されているのか?

消費者庁において、アフェリエイト広告に関する検討委員会が立ち上がり、審議が行われていることはご存じでしょうか。アフェリエイターやASP事業者の方々にとっては極めて重要な検討がされております。今度のビジネスにも大きな影響が生じる可能性があります。まだ、検討審議の段階ですが、将来の規制に向けた審議権等と考えられますので、今のうちからフォローしておくと良いでしょう。

令和3年6月10日に、アフェリエイト広告の現状及び課題を明らかにし、不当表示が生じない健全な広告の実施に向けた検討方針を検討する「アフェリエイト広告等に関する検討委員会」の第一回が開催されています。本検討委員会は、令和3年中を目処に一定の結論を出すとしている。

当サイトでは、「アフェリエイト広告等に関する検討委員会」に議論の動向を注視していきたいと思います。また、議論の内容をできるだけキャッチアップして、本記事に追記していきます。

第1回検討会

以下では、第一回検討会の資料のうち、重要な資料をピックアップして、その内容を確認していきます。

1.資料4「アフェリエイト広告をめぐる現状と論点(事務局資料)」

資料4では、本検討委員会による検討を行う趣旨から、アフェリエイト広告の問題点など、アフェリエイト広告の現状と論点が整理されています。

本検討を行う趣旨

アフェリエイト市場規模の拡大

まず、アフェリエイト市場規模の推移と今後の見込みが示されています。本資料引用の「株式会社矢野経済研究所『アフェリエイト市場に関する調査委(2020)』によると、アフェリエイト市場は、年々増加傾向にあり、今後も拡大が見込まれているようです。

 このようにアフェリエイト市場が拡大している背景には、「アフェリエイト広告は、アフェリエイターにより、広告主が思いつかないような新しいアイディアや消費者目線での広告が行われ、効率的な広告配信や需要喚起への効果も期待される」「成功報酬型でわるアフェリエイト広告は、初期費用が少なくて済むことから、広告に多額の初期投資をできない中小事業者やスタートアップ事業者等も利用することができ、これらの事業者の多様な商品等が消費者に普及するきっかけにもなりうる」として、アフェリエイト広告の利点が指摘されています。

→アフェリエイト広告の問題点

 他方、アフェリエイト広告には、次のような問題点が指摘されています。

 まず、アフェリエイト広告が持つ次の2つの特性から、不当表示につながりやすいことが指摘されています。

広告主ではないアフェリエイターが表示物を作成・掲載するため、広告主による表示物の管理が行き届きにくい。

アフェリエイターが成果報酬を求めて虚偽誇大広告を行うインセンティブが働きやすい。

また、消費者側からすると、一見すると、アフェリエイト広告かどうか判断が難しいという点も指摘されています。

アフェリエイト広告の仕組み

景品表示法の考え方

2.資料5「池本委員提出資料(「アフェリエイト広告の適正化に向けた考え方」)

 弁護士である池本委員は、「アフェリエイト広告の適正化に向けた考え方」として、6つの提案をしている。

  • 提案1「関係事業者団体を通じて周知するほか、違反業者に対する指導・措置命令を積極的に実施すること」
  • 提案2「都道府県の執行件数を増加するよう、体制強化と研修強化を推進すること」
  • 提案3「売上げが高い広告や売上げが急増した広告等について定期的に調査確認すること等により、不当表示を迅速にチェックすることをルール化すること」
  • 提案4「消費者からアフェリエイト広告に関する苦情が寄せられた場合、ASPを通じて当該アフェリエイト広告を入手して消費者に開示し、不当表示の有無を客観的に検証することをルール化すること」
  • 提案5「有償の委託を受けたアフェリエイト広告であることを表示させるルールを定めること」
  • 提案6「ASPは、景品表示法による法規制が適切か否かは直ちに結論を出せないとしても、自主規制ルールを柵状して取り組むこと、それでも実効性が確保できない場合は、法的義務を検討すること」

  以上の6つの提案の中でも、提案5は、実現すれば、効果は大きいと考えられます。実際に、諸外国では、アフェリエイト広告であることを記事内で明示するなど、発信者と広告主との関係を記載することを義務づけている例があります。受け手にとっての情報価値は、発信者と広告主との関係次第で大きく影響を受けるものと考えられます。アフェリエイト広告の適正化という観点から、この提案5の実現は、不可欠なように思います。

3.参考資料「アフィリエイト広告に関する注意喚起資料」

第2回検討会

 令和3年7月16日、第2回検討会が開催されました。

第二回検討会では、「アフェリエイト広告等に関する検討会」の工程表(案)が明らかにされました。同工程表によれば、同検討会の検討は下記の通り進行されるようです。

  1.  第1回 検討課題提示・事務局説明(令和3年6月10日実施)
  2.  第2-4回 事業者団体等へのヒアリング
  3.  第5ー6回 論点整理・意見交換・とりまとめ

(参考資料2 事務局説明

独立行政法人国民センター『「アフィリエイト広告」等に関する消費生活相談の現状について』

事業者団体等へのヒアリングの第一弾として、独立行政法人国民センターに対するヒアリングが実施されています。

独立行政法人国民センターとは、国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行うとともに、重要消費者紛争について法による解決のための手続を実施することを目的とする日本の行政法法人のことです。

日ごろから消費者から相談を受けている立場として、「相談現場で問題となる広告」「具体的な事例」を参考資料において公開しております。

また、独立行政法人国民センターの立場から、広告媒体社、アフィリエイター、行政に対して、それぞれ要望を提示しています。

広告媒体社への要望

消費者苦情の発生状況も踏まえて、広告主の広告掲載の審査を継続的に行ってほし

●消費者苦情への対応の観点から広告媒体・広告主、期間、時間帯を特定すれば当時
の広告を開示してもらえるような仕組み
を構築してほしい

アフィリエイターへの要望

●各種法令を順守し、消費者を誤認させる広告・表示を行わないように、景品表示法、特
定商取引法、薬機法、健康増進法等の法律の知識
を持って広告を作成してほしい

●ASP、広告代理店、広告主(販売事業者)、広告媒体社から不適切なアフィリエイト広
告である旨の報告があった場合には、指導を受けて、適切なアフィリエイト広告に修正

してほしい

行政への要望

●当該表示が広告であること、記載内容の責任を広告主(販売事業者)が負うこと、作成
者などの記載を義務付け
、消費者がそれらを容易に認識できるようにしてほしい
また、記載していない場合は行政からの指示等により表示させるようにしてほしい

●広告主(販売事業者)が、アフィリエイターの悪質なアフィリエイト広告を知っていたり、
知り得る状況にあったにもかかわらず、当該アフィリエイト広告を通して商品の販売を
継続した場合に、消費者への返金に応じる責任を負う
ような法律の解釈を示してほし

● 消費者を販売サイトに誘導する広告や広告主(販売事業者)の販売サイト(広告)につ
いて、広告・表示の適正化および消費者トラブル防止の観点から、監視指導体制を強
化(ネットパトロールなど)を実施
してほしい。

資料3の一部、資料4及び資料5は、非公開

第2回検討会では、資料1から3のほかに、資料4「公益社団法人 日本広告審査機構説明資料」及び資料5「河端委員説明資料」も参考資料とされていますが、運営要領に基づき非公開とされていますので、確認できません。

また、議事についても、運営要領に基づき非公開とされているため、上記の参考資料に基づきどのような議論がされていたのかは、サイト上では、わかりません。

以上、第2回検討会の概要となります。